データの可視化には、二つの側面があることがなかなか整理されていないため混乱があると思います。一つは「データの分析自体がデータ可視化である」側面、もう一つは「データを使ったプレゼンテーション」である側面です。
前者、データ分析の結果を視覚的に得ている以上、データ分析の出口は可視化が掴んでいるともいえます。可視化が広く普及している統計的手段の民主化や洗練を深めることに加えて、手段自体を広げる・増やすという側面もあります。
後者、データのプレゼンテーションは、コミュニケーションの話です。データサイエンス(統計と機械学習)は適用領域の課題を数学的に解こうとしますが、データ可視化は表現であり、伝達であり、その結果、人の心を動かして行動変容を促すということです。
前者を後者にそのまま利用する、つまり分析結果としての可視化をそのままプレゼンテーションするケースもあると思います。前者と後者は別個に存在しているケースもあります。いずれにしても、データの可視化をイシューとしたい際に、前者と後者のどちらの話をしたい・しているのかの整理が必要です。
そして、データサイエンスのシラバスにおける可視化は前者しか扱っていないのでは、ということですね。
データはあらゆる領域に存在します。既存の様々な手法に、データサイエンス、データ可視化の原理原則を加えることで、これまで手が届きづらかった「多次元的な細やかさ」と「人の認知や感情」の接続を達成できると考えています。
AIが解答を出しても日本人的な合意形成を実現するには情動や感情へ訴えないとダメじゃないかと。
本講習では、探索的なデータの扱い方や、データ可視化についての科学的成果や認知の研究科成果なども扱いながら、実際に役立つ手法を提供しております。