毎週末ブートキャンプ開催中!

データの可視化が日本全体にもたらす価値とは

講習を主宰しているより、データビジュアライゼーション講習にかける想いです。ご一読いただけましたら幸いです。

誰に対して、何をしたいのか?

情報が得られなかったことで、困る人を誰一人なくしたい。
そのためにはデータを活用できる素養を、一人ひとりが育んでほしいと考えています。
仕事で使うExcelは必ずしもデータを活用するためのベストな方法論ではありません。小中高校の教科書に掲載されている統計は残念ながら勉強のための勉強にとどまっているのが現状だと思います。実社会において真に役立つデータ活用のために、ミッシング・リンクとなる方法論やツールがまだまだ全く活かされていないというのが戦後73年経った2018年現在の日本です。

将来ある子どもたちに、データを活用してほしい。そのためには現在の統計教育をアップデートする必要性を痛感しています。たとえば情報を得られないことで保活に失敗し、多大な犠牲を強いられる子育て中の親御さんの負担を減らしたい。公共性が高くより広い方たちに影響があり乗数効果がより高い、教育や行政の分野へ惜しむことなく知見と情熱を投入し、日本全体をよくしていくことに貢献できたらと、心から願っています。

そのためには、数々の実験や思索から導き出された研究成果と、それを勉強としてではなく楽しみながら身につける教育教材が必要です。

私は元々、インターフェイス/ロゴのデザイナーでしたが、コーディング能力を身につけるため6年半勤めた会社を辞めてアートディレクターの職を投げうって、独学でコーディングを習得しました。Java Script、Python、PHP、Javaなどを実案件で活用しています。

従来から取り組んでいた、海外の英語論文のリサーチやカンファレンスでの人脈と、デザイナー経験を活かしたメタ認知能力や情報設計力に課題解決に加えて、工業大学で学び美術大学で教えながら、科学的知見と直感的表現を結び付け、社会へ貢献できられたらと考えています。また、ITを活用しようとすればこそ、地の利を超えて、東京でなく地方の方たちにも自らをエンパワーしてほしいと思います。

それを実現できたら何が起こるのか?

もっときめ細かな平等が実現します。現在は国勢調査はコスト面からサンプル数が少なく、意識調査は年齢・性別といった既存のデモグラフィックで集計してしまうため、多次元にデータ活用できておらず、ざっくりした傾向しか掴めていません。データを可視化したたった一枚のチャート図を眺めて、中流社会が崩壊した多様性あふれる日本社会のことを描画しきれるでしょうか。また調査結果を日本全体ではなく、個人の属性に寄り添わせることなくして、個人が共感・実感し、今後の意思決定や行動に活かしてもらうことができるのでしょうか。これを実現するためには、多次元データをインタラクティブに操作することで、多様性に対応することができるデータ可視化(データビジュアライゼーション)の力なくして実現は不可能であると考えています。

もっと自己実現ができるようになります。たとえば旅行を計画していることを思い浮かべてください。日程、予算、体験したいこと、交通費と宿泊費と遊興費のバランス、訪れるべき場所と、実に多次元な条件の中から、頭の中で想定し、結論を出しています。人間の脳が優秀だといえますが、可視化されていないため、検討しきれていない可能性があります。これらも検討の遡上に登らせることができるため、より自己実現が可能となります。

データの活用に関して、誰ひとりとして取り残しません。統計やデータサイエンスは適用領域を数学的に解こうとします。そのため数学の素養がないと、置いていかれてしまいがちです。研究や専門領域の仕事でない限り、数式が読めなくても問題ないですし、ツールとベスト・プラクティスがあれば、どなたであってもデータを活用することが可能なはずです。そしてそれは現在全く実現できていないのです。

それにはどんな意味があるのか?

世界価値観調査という、五年ごとに百カ国を超える国々で意識調査をして三十年ほどになる調査があります。視覚的表現をしたコンテンツを数年前に作りました。

http://wvs.structure-and-representation.com/content1.html

「イングルハート-ヴェルツェル図」という図があります。「伝統的価値(前近代社会)」vs「世俗 - 合理的価値(近代社会)」と「生存価値(産業社会)」vs「自己表現価値(ポスト産業社会)」という二軸に、世界の百カ国をマッピングします。これは同一アンケートを実施しているからできることです。これによると、日本人は、スウェーデンなどと同様に、世俗 - 合理的価値であり、自己表現価値という前人未到の右上に属しています。デフレからなかなか抜けきれない現在の日本からは俄には信じがたいですが、そのように思っている人が多かったという事実でもあります。思えばファミリー世帯から核家族化、一人暮らしと、伝統的価値観を離れて世俗的価値観へ傾倒しつづけています。二百年維持した暦を経った一ヶ月で放棄した明治維新。合理的であった西洋の太陽暦への素早い移行は合理的判断を示しています。本来持っていた物事を合理的に評価する気風を回復できる礎となるかもしれません。


この投稿をシェアする